TOP » 第22回「エラストマー」

2006年03月23日
三菱化学株式会社
機能性樹脂事業部マーケティンググループ課長代理 漆坂 雅弘 氏 / 内山 勝雄 氏
参加者:29名








近年、気密性や防水性、衝撃緩和、肌触り(ソフト感)等を目的に、硬質プラスチック
とエラストマーとの複合成形を製品に用いるケースが多くなってきています。

今回は「触感」と「機能」という観点から、エラストマーの系統・特性・技術情報、
製品化への発想や可能性について、ご紹介していただきました。

<熱可塑性エラストマー(TPE)とは>
・ハードセグメント(樹脂成分)とソフトセグメント(ゴム成分)からなる。
・室温では弾性変形し、加硫ゴムと同様の挙動をとる。
・温度を上げると、ハードセグメントが軟らかくなる。
または溶融し成形可能である。

<概要・ゴムや硬質プラスチックとの比較>
比較イメージ
・材料コスト シリコンゴム(低)<エラストマー(高)
・製造コスト シリコンゴム(高)>エラストマー(低)
・耐久性   シリコンゴム(高)>エラストマー(低)

エラストマーは、耐久性についてはゴムにはかなわないが、使用条件を明確化し、
最適なグレードを選ぶことにより意匠性、量産性や環境への負荷が低いこと、樹脂
との一体成形が可能なこと等のメリットを、最大限に活かすことができる。
・大まかなイメージで汎用プラスチックと比較した場合、耐候性、耐油性、耐薬品
性等はプラスチックよりもやや劣る。特に耐油性については難しい。
・自動車のインテリア、ガラス窓のサッシのパッキン等々、一般的用途には問題な
い程度の性能は充分持っている。
・「おしゃぶり」のような口に入れる物や、食品密封容器、注射器のピストン等、
衛生性が求められる製品にも使用可能。(要・試験。ミルクのような脂肪分を含
むものへの接触はNG)

<種類の紹介・各特徴>
●スチレン系「ラバロン」
・グリップ感が特徴
○多数のシリーズ
・工業部材用/Sシリーズ:標準的シリーズ。耐候性にすぐれ、屋外用途でもOK。
・衛生部材用 /Mシリーズ:衛生性に優れ、薬剤への影響がない
・透明部材用 /Fシリーズ:透明であることを活かし、従来 は塩ビを使用してい
たような製品にも意匠性を付加できる
・超柔軟部材用 T320C/331C、SR04
○高い圧縮永久ゆがみ(70℃*22hr)
○カラーリングが容易
○低反発/高反発の両方あり
○PPとの溶着が可能
△成形性がやや悪いため、微細な形状は難しい
△耐熱性は他のグレードに比べ低い
△長期間にわたる使用では、オイルが浮いてベタベタすることがある
△グリップ感があるがゆえに、ホコリが付きやすく、磨耗しやすい

●オレフィン系「サーモラン」
・すべすべ感、滑らか感が特徴
○比重が0.9と小さく、軽量化、低コストに寄与
○成形性に優れる
○PPとの溶着が可能
○特殊なグレードでは、−40℃の環境下でも割れを生じない性能をもつ
(合成皮革的な用途)

●ポリエステル系「プリマロイ」
・しっとり感が特徴
○非オレフィン系樹脂(PC、ABS等)との溶着・複合成形が可能で
ありながら、柔軟性にも優れる

融着可能な硬質プラスチック:
PC、ABS、AES、AS、GPPS、HIPS、PMMA、PET、
PBT、PET-G、セルロースプロピオネート、PPE/HIPS、
PC/ABS、PC/PET、PC/PBT、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂
特殊グレードであれば6−Ny、MXD、12−Nyも可能

△上記2種よりもコスト高
・ペンのグリップや歯ブラシ等、プラスチックと一体化されているものに多い
・最近の事例では携帯電話のコネクタカバーに、ABSとの一体成形で用いられ
ている。