JIDAスタンダード委員会 セミナー部会
 

10月17日
住友金属鉱山株式会社
株式会社タイヘイテクノサービス

 

 

 

 

 






 

今回は、住友金属鉱山様と同グループの営業活動を行なうタイヘイテクノサービス様
にMIM成型とイオンプレーティングについての基礎知識と応用例についてレクチャー
していただきます。

■金属粉末射出成形法とは、金属粉末を用いてプラスチック製品と同じ様に射出成形し
た後、焼結を行って金属製品を生産する技術です。別名Metal(金属)Injection Molding
(射出成形)の3文字をとってMIMと呼ばれています。
高精度でありながら、今まで通常のプレス加工ではなしえなかった複雑形状製品の大量
生産が実現でき、デザイン・機能を主体とした自由度が高い設計が可能です。
現在、自動車、情報通信、精密機械、レジャーなど様々な分野で採用されております。

<MIM製造方法>
MIMの製造手順は簡単にいうと陶器を作るのによく似ています。
1. 金属粉末(5〜10ミクロンの微粉末)+バインダー(流動性に働くワックス、
形状保持の為の樹脂等を添加します)
形を作る為には適度なやわらかさ、言いかえると流動性が必要になります。陶器では
土(年度)に水を加えて調整しますが、MIM法では土が金属粉末、水がバインダーに
相当します。

2. 混練・造粒
陶器を作るには先ず粘土をよくこねます。MIM法においても同じです。混練機でバイン
ダーが溶ける温度まで加熱してよく混練します。
その後、材料を安定供給する為に混練物をペレット状に造粒します。

3. 射出成形
陶器で言うとろくろを回しながら形を作りますが、MIM法ではプラスチックの射出成形
機を使用して成型します。

4. 金型
素焼後の陶器は大きく焼き縮みますが、MIMにおいても焼結後は15〜20%収縮します。
その為、縮み分を計算した大きさに金型を製作します。

5. 脱バインダー
成形直後の陶器をいきなり釜に入れますと割れや型崩れが生じます。MIMにおいても同
様の現象が生じますので、金属粉末に添加したバインダーの50%以上を前処理として除
去する必要があります。この工程のことを脱バインダーといいます。

6. 焼結
陶器では釜で焼きますが、MIMも同様に焼結炉で焼くことにより、硬く丈夫な製品が
できます。

<特徴>
1. 小物で複雑形状品を一体成形することで、コストダウンができる。
2. 大量生産が可能。
3. 設計に自由度がある。
4. 難加工材の製造に適している。
5. 微粉末を使用する為高密度の焼結体(95%以上)が得られ機械特性も優れている。

<設計時の留意点>
材質-Fe,SUS,Ti,など高融点金属
形状-プラスチック射出成形が可能な形状
生産性-数百〜数十万個(千個以上の大量生産品が有利)
寸法精度-±0.5%


■イオンプレーティングは硬質な表面処理技術として、耐摩耗性対策として工業用機械
部品等に使われる一方、その独特な色合いから、装飾品にも数多く使われています。

<セラミックコーティング(PVD法)>
皮膜特性や密着力に優れたイオンプレーティング法。真空釜の中でプラズマ反応によって
高硬度のセラミックコーティング膜を生成できます。

<膜種>
TiN - 金色 硬度2000〜2500 HV
TiCN - 灰色 硬度3000〜3500 HV
TiAIN - 赤黒色 硬度2300〜2800 HV
CrN - 銀灰色 硬度2000〜2200 HV
ZrN – 白金色 硬度2000〜2200 HV
ACT – 金色 硬度2000〜2500 HV
ACC -銀灰色 硬度2000〜2200 HV
プライムコート-T - 赤茶色 硬度3000〜3500 HV
プライムコート-C -銀灰色 硬度2300〜2800 HV
ヴィーナスコート- 黒灰色 硬度3000〜3500 HV


今回の勉強会では、MIM加工法を使うことで切削やプレス加工では成しえなかったプラ
スチックと同じような自由な成形が可能であるということが理解できました。
また、今回お持ちいただいたMIM加工でつくられた多数の金属製品を見ていると、その
加工過程が陶器と同じような製造過程で出来上がったモノとは到底想像がでず大変驚き
でした。

イオンプレーティングでは金属に色を着けるという事ではなく、表面の金属特性(耐摩
耗性、耐食性、耐酸化性、耐焼付性)を高める為のコーティング技術であるということ
が理解できましたが、そのカラフルで、深みのある色合いは、金属表面の機能特性を高
めることに留まらず、装飾という意味でも大いに魅力を感じました。

株式会社タイヘイテクノサービス
http://www.taihei-s.com/index.htm