TOP » 第41回「チタン表面処理」

2008年5月12日
株式会社マルサンテクノス




 

 

 

「チタニウム」、優れた耐食性を持ち比較的歴史の浅いこの金属は、医療部品、装飾品、
家庭用品などに使用され、私達の身近なモノになってきました。今回は

「チタンの表面処理加工」「チタン異型加工」について、パワーポイントと実際の
サンプルを見ながら説明していただきました。

『チタンの表面処理加工』

<チタン漆塗り>

■漆の樹液と特性
古くは縄文時代から接着剤として用いられてきた漆は、漆の木が傷ついた部分を保護する
為に出てくる樹液です。傷がついた瞬間に漆内の2液が混ざり凝固すると思われ、2液性の
樹脂と考えられます。(蜂の種類によっては巣を作るのに漆を接着剤として使うものもあ
るそうです。) 漆の主成分であるウルシオールはかぶれの原因にもなりますが、ラッカーゼ

酵素により酸化し固まると、水、酸、アルカリ、熱に強い塗膜を形成します。また、一度

固まると触ってもかぶれることはありません。

■漆が塗られた理由の変化
飛鳥・奈良時代は寺院や仏像等の文化や思想を伝える為に漆が使われました。それが時代
をおうごとに変化し、平安時代ではお椀、手洗い槽等、明治・大正・昭和では電話機、鉄
道車輌、ミシン等、機能材料として使われるようになりました。そして現在ではもう一度
文化的な用途として、高級漆器や美術品に広く使われています。作業的、コスト的にも優
れる合成塗料を使用する事によるメリットは確かにありますが、計算出来ない心理的、文
化的価値を失っている部分もあるのではないでしょうか?

■重さについて
日本では手に持つ食器(湯飲み、ぐい飲み、お椀、茶碗、お箸、等)が食卓の中心になっ
ており、食器における重さは重要なファクターになってくると考えられます。チタンで作
られたこれらの食器は木製の漆塗り食器と比べても重さに差が殆ど無く、ステンレス、銀、
等に比べても優れていると考えられます。

■表面のテクスチャー
触感は木のような温もりと手触りで、下唇の接触面が漆になる事により、コーヒー、お酒、
ワイン等の味がまろやかになる。下唇で得た柔らかいという情報が舌の来電から伝わる味
の情報と入り混じり、味をよりマイルドに感じると思われます。
また、磨き上げたチタンに漆を塗ることにより、肌理の細かい奥行きのある漆黒は景色を
映し出し、完成度の高い表面処理となります。木製のものよりも変形が少なく漆の割れや
はがれもありません。
マルサンテクノス様では、日本の技術文化の過去・現在・未来をつなぐ象徴として、輪島
の職人チームとのコラボレーションによりチタンの粉を発色させた蒔絵の技法で風神雷神
屏風を製作されました。

<チタン再結晶化と陽極酸化>

■再結晶化とは…
チタンは真空中で高温加熱すると組織が変化し、再結晶化する現象が起こります。再結晶
化したものに陽極酸化を施すと、結晶ごとに微妙な色合いの発色が可能となります。

■陽極酸化とは…
その名の通りプラス極で通電して酸化させる、つまり強制的に錆びさせる処理のことです。
チタンは自然に酸化皮膜が出来、素材を保護しますが、さらに科学的に酸化皮膜作ること
により表面硬度を上げたり色を付ける(発色)ことも可能です。チタンの酸化皮膜は表面
を完全に覆う透明な皮膜で、光の屈折率が大きいことから入射光と反射光が干渉し合って
虹のような発色をします。また、電解電圧に比例して酸化皮膜の厚さ、つまり色を調整す
ることも可能です。

『チタン異型加工』

■異型線とは…
特殊な断面形状を持つ金属線を異型線と呼びます。
異型線は「NNS工法(ニア・ネット・シェープ)」のルーツです。予め完成体の形状に近
づけることにより、製造工程を減らしコストダウンにつなげ、高価なざいりょうの切屑を
低減する等が期待できます。ステンレス、チタンなどのワイヤー、ロッド、つまり丸い断
面形状を持つ素材に伸線、圧延などの塑性加工を施し、様々な断面形状を持つ異型線製作
することが可能です。一般的に異型線の加工方法は、ダイスによる引き抜きと、ロール圧
延による方法があります。主にダイスによる適正寸法伸線、駆動圧延ロールによる粗圧延、
成型ローラーダイスによる形状成型という、冷間加工をへて出来上がる大変複雑な形状を
したものまで多種多様です。多くは定尺に伸直切断された後、製品寸法に近づけた形へ切
断し使用します。時計の金属バンドのコマや眼鏡のフレーム、ギターの弦の押さえ、割ピン、

各種計測機器の部品などに広く使われています。

なんとなく知っているようで良く解らなかった『古くて新しい素材』漆。作業性やコスト
だけではない文化的価値も含め大変勉強になりました。又チタンとの融合で生まれた新し
い価値は可能性を感じるものでした。