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JIDAの歴史に触れて by関口康子

私は大学二年の時にJIDAに入会し、JIDA JUNIORという学生団体に所属しました。


高校では、工業デザイン科を卒業していたので、デザインに、特に工業デザインには
深く関心を抱いていました。JIDA JUNIORでは、美術大学をはじめ、好奇心旺盛な
学部生が集まり、デザインについて様々な意見交換が行われました。
入会してから少したった頃、JIDA名誉会員の宇賀洋子さんからJIDAがストックして
いた資料の整理、アーカイブにする作業のお手伝いをしないか、と声がかかりました。

私はデザインはもちろんのこと、歴史が大好きでした。すぐさまメンバーに加わり、
宇賀さんをはじめ、木村一男さん、佐野邦雄さんたちと共に長年放置されていたボロ
ボロの段ボール箱27箱の中身の鑑識、アーカイブにする作業が始まりました。

私自身、なにも分からないところからのスタートになりましたが、進めていくうちに
同じような人物の名前が出てきて、JIDAの創立当初に関わった人たちが明らかになっ
てきました。
会ったことがない人たちの活動資料をみている、というのは、少しどこか本を読んで
いるのと似た感覚であります。資料自体、まとまったものではないけれど、歴史の教
科書にはないありのままの出来事がこと細かに記されています。人との情報交換や交
流会の様子、研究のためのメモ、企画書、フィルム、ビデオ・・・。

人が残した資料とは、こんなにも様々な情報や強い想い、情熱が伝わるものなんだと
作業をしていて非常に強く認識させられました。それは、ただ単に私が興味があるも
のだからかもしれませんが。

お気に入り
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JIDAの歴史は「ニッポンプロダクト」にも記載されているように、日本の産業活動
に影響をもたらしていることが分かりました。今、私たちが当たり前に使っている
電化製品、道具、公共施設等は、彼らと外国との結びつきにより入ってきたもので
あったり、彼ら自身がデザインしたものであったりと、身近に深く関わっていました。

また、日本の産業を発展させるためにか、日本について掘り下げるようなテーマ設定、
ディスカッションが日本国内にとどまらず、外国でも行われていました。
一人では結果が得られない、国、文化レベルでの大勢での真剣な話し合い、というも
のに強く意義を感じました。
話では聞いたことがあったり、知っていて当たり前のことなのだけれども、実際に
資料を手にとると当たり前のことがとてもすごいことに感じます。

何事も今現在の活動が一番大事だと思っていますが、過去の出来事を知ることも非常
に大切だと思っています。

どのようにして今に至ったのか、先人の知恵であったり、想いであったり、行いであ
ったり。”技術の伝達”だけを目的とするのではなく、プロセスを理解すると出来事の
見え方も変わってきます。
そのようなことを、多くの人に知ってもらうことや興味をもってもらうということは、
そう簡単ではないと思うし、どういう意味があるのか、という点では一人一人異なる
受け取り方になるでしょう。
しかし、このような活動資料は保存をしていかないと後世には伝わりません。

どの時代にも記録、保存、語り継ぎというものがあって、歴史は出来ていくのです。

JIDAの歴史というのは、デザインの教育を受けてきた22歳の私からみると、日本の
IDの始まりの点だと思います。
時代によってIDの社会的目的というのは、違って当然ですが、今を見つめ直すために
も少しは昔を振り返ってみてもいいのではないのでしょうか。

私は学芸員の資格を大学でとったので、アーカイブ設置分科会ではおおいに活用し、
歴史を伝えるという立場でしっかりとJIDAの歴史を残していこうと思います。また
更にそれらを使えるように管理、保存をこれから先何十年もかけて行っていきます。

きっと今のJIDAの会員の方も知らないことが殆どだと思います。これをきっかけに
JIDAについてもっと知ってもらえると嬉しいです。


四月から

四月から、就職します。仕事はギフトをメインとした販売、接客です。
たくさんの商品に触れていると、一つの物の価値というのは使う人によって決まると
思わされます。大量の同じ商品や、なくても生きていける物ばかりなのですが、それ
ぞれが十人十色の想いをもって買っていかれます。直接お客様と接せられるこの職業
は、物の存在を改めて考えさせられています。


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関口 康子(せきぐち やすこ)

1986年生まれ
埼玉県立新座総合技術高等学校 工業デザイン科卒業
東京造形大学 デザイン学科 室内建築専攻卒業
JIDA学生会友JIDA JUNIOR二代目代表
2009年(株)レイジースーザン入社

更新日:2012.01.06 (金) 08:13 - (JST)