kanmi_4|JIDA東日本ブロック                     

[甘味所探索記]第4回 by仁保精親

こんにちは!JIDA会員#770の仁保精親です。

前回、神輿で暴れ過ぎた為、お上から実名で投稿しなさいとお達しが
あったので実名でレポートします。

前々回より、浅草雷門オレンジ通りの甘味所を紹介したが、すし屋横丁
近辺を紹介しよう。
再びオレンジ通りと雷門通りの角から合羽橋方面にあるく。
右側に「モスバーガー」や小さなカフェテラスのある「コーヒー館」が
ある。どうってことはない店であるが、昔「ナガシマコーヒー」のあっ
た店である。雷門の住民しか知らない店であるがホールのような店で、
今で云うオープンカフェの感じの店でここのショートケーキは実にうま
かった。

お気に入り

さてもう少し歩いていくと、かの有名な創業から130年たつ「尾張屋」
の蕎麦屋がある。
ここは噺家達が結構食べにくる店である。かの有名な噺家が高座終了後、
弟子を連れてきて遅い晩飯を食っていたことを思い出す。丼(どんぶり)
から大きく飛び出す海老の海老天そばとカツ丼が師匠で、弟子はかけ蕎麦
のみであった。多く食いたければ早く腕を上げよ!という暖かい教えで
あった。

しかし、店はそれを知ってか、知らずか、お弟子のかけ蕎麦にほんの
少し蕎麦を多く出すのである。
また、師匠も知ってか知らずかお勘定の時、「つりは要らないよ!」
といって多めに金を払って出て行くのである。つまり師匠と店のあうん
の呼吸があった。
この浅草という土地は個々の店が芸人を育てているのである。
しかし最近そういった店は少なくなってきた…

さて、話を続ける。この店のそばの汁は「神田の藪そば」に比べやや甘口
であるがそれでもうまいのである。
自分は「鴨南蛮そば」の揚げ玉入りと半ライスをついつい頼むのである。
これが実にうまい!!
蕎麦の出汁(だし)に揚げ玉がさっと広がり、鴨の肉の周りまで絡み付く、
揚げ玉は海老天から出た揚げ玉であるから出汁に微妙な味の変化が生まれ
る。何とも言えないマイルドな味を与えてくれるのである。此の時は、借
金や仕事のことすら忘れさせてくれる。そして白いご飯が舌に絡み付いた
脂分を取り去り、もう一度、鴨肉と蕎麦が至福の世界へ引き戻すのである。 
く〜、たまらん!!

これ以上は言えない。知りたければ行って食うべし。

もう少し、蕎麦談義を続けると、そば屋の「汁」と「つゆ」の違いは「汁」
は飲むもの。「つゆ」はつけるものである。
従って、かけ蕎麦の「出汁(だし)」は飲むもの。もり蕎麦(せいろう蕎麦)
は蕎麦を「出汁(だし)」につけて食べるのである。

今はそのような言葉の区別は無い様であるが、やはり区別して食べたほうが
うまく感じるのである。厳密にいうと、「もり蕎麦」と「ざる蕎麦」の
「つゆ」は異なって作るのが本当の蕎麦屋であるが、スタンドの蕎麦屋は
そのようなはっきりした区別はしていないようだ。

本当に味が単一化してきた、まるでアメリカの「Mバーガー」と同じ、単味
時代になってきた。ついでに、「Mハンバーカー」のコマーシャルを見るが、
コマーシャルに出ているハンバーカーは直径8センチから10センチの大き
さに見えるが、実際に計ってみると5センチしかない。昔、銀座四丁に日本
で始めてオープンした「Mバーガー」のハンバーガーはノギスで測って見る
と直径10センチほどあった記憶がある。今はなんと小さくなったことか!!
それと戦後、飲食店で日本で始めてマニュアル人間を作ったのがこの店である。

接客術としてすばらしいノウハウなのか良く分からないが、その分厚いマニュ
アルのノートに書かれていない行動をとったら、店員はどう対処するのか、
一度見てみたい気がする。年寄りの好奇心かな!

……失礼した。今は甘味所の探索であった。

「尾張屋」からしばらく歩くと、右側に「イズミ」という甘味所があるが、
最近出来た店なのでまだ入っていない。どうやらあん蜜を食わしてくれる店で
ある。無視して隣の「マウンテン」という喫茶店にはいる。

お気に入り

この「マウンテン」は何が有名であるかというと味ではない。店内がやや個室
喫茶的で、十分に落ち着くという点である。昭和の喫茶店という感じである。

そしてすし屋横丁に入るが、この横丁を入ってすぐさま一本横丁右に入ると、
食通街がある。この路地にはいろいろな店があって面白いのである。
例えば、もんじゃ焼きの「六文銭」、妙興寺そばの「長浦」や洋食屋の「八一
(ぱついち)」その他もろもろ、後日改めて紹介しよう。


さてすし屋横丁に入ってロック座方面に歩いていくが、右側に蕎麦屋の「十和田」
がみえる。ここの蕎麦屋は味より「女将」が有名である。浅草のれん会の会長を
しており、浅草芸人の面倒を良く見ている女傑女将なのである。もともとここは
和服屋であったが、趣味が高じて蕎麦屋になったという店である。

味についてあえて言えば天麩羅そばが実にうまい!!蕎麦屋にしては天麩羅だけ
が妙にうまいのがここの店の特徴である。銀座の○○高級天麩羅屋といい勝負す
るが、店内の内装で負けている!。

つづいて隣がかの有名な大正3年創業の「入山せんべい」である。
完全な手作りで、店先でせんべいを焼きながら売ってくれる昔ながらの店である。
せんべい1枚でも売ってくれるからうれしい店で、商品は1品だけである。製品
開発の進歩はないがこの醤油味の「入山」のせんべいは本当に香ばしくてうまい
のである。まさに浅草の味である。
もし浅草に行ったならここのせんべいを絶対に食うべし!!。

この店からしばらく歩くと、すし屋横丁と新仲見世通りの角にシューマイと肉ま
んで有名な「セキネ」がある。創業から86年たっているが、肉まん、アンマン、
シューマイの3品のみの製造販売である。もともとパン屋からスタートした店で
あるが、どういうわけか肉まんやシューマイなど作って販売をしている。しかし
ここの肉まんは本当にうまい。肉まんなのに、肉の固まりがガッブと食えるので
あるここも食うべし。浅草下町の味である。人によって異なるが、ここの肉まん
にソースと洋辛しを付けて食うと本当にうまい!一度試して食ってみたらどうか。

今回はここまで、いまから六区の東洋館の漫才を聞きに行かなければならのだ。
仁保精親でした。

更新日:2012.01.06 (金) 08:08 - (JST)