forum_3|JIDA東日本ブロック                     

連続フォーラム「生活の論理を考える」

◎第3回フォーラム「生活学とは何か。暮しと道具−−昔・今・これから」


・講師:真島俊一氏 生活道具研究家、元日本生活学会副会長、(株)TEM研究所所長
・聞き手:松本有氏、大竹美知子氏 JIDA
・進行:堀内智樹氏 JIDA
・日時:2008年10月11日(土)PM 2:00〜5:45
・場所:JIDAデザインミュージアム




初めに、2010ビジョンクエスト担当の杉本功雄理事が、連続フォーラムの意図について「JIDA東日
本ブロックのビジョン委員会は、2010ビジョンクエストに向けてのテーマの一つとして「生活」に
焦点を当ててきた。デザインをする時、デザイナーは生産・経済の立場から生活を見て、対象をユー
ザーとして捉え、その範囲でデザインをするが、見方を変えて、一個人の生活の側から生活を捉える
視点に立ってみたらどうか。そこで、生活の概念を正確に捉えるため「生活学」の考えを聞くことに
した。」と説明した。

次に、真島講師から3時間にわたりスライドを交え概要次のような話があった。

*詳細は真島氏の校正が済み次第掲載の予定です。12月10日の第4回フォーラム(見学編)開催を前に、
とりあえず小見出しを紹介します。

・道具から見ると、私たちは大変面白い時代にいる。

・生活学会は暮しと文化を30年考え続けている

・大正時代は生産の道具と生活の道具が一緒にあった。

・私たちの生活は「消費ではない」と考えている。

・工業製品は何をもたらしたか。飛躍的な生存率。

・面白い時代に生きている−−とは。100年前までとは全く違う生活。

・「新しい時代のスタート」は今始まっている。

・デザイナーにぜひ知ってもらいたいこと。
「一点ずつは素晴しいのに集合すると見えなくなるのは何故か。」

・生産の方法で暮らしを見たのでは、良い道具は作れない。
「生活から生産のあり方」を是非見てほしい。

・一つの機能を1点と考えて、日本人は30000点の道具の中で生活している。

・今、生活学を上手に使っているのは刑事事件の捜査。

・デザイナーがデザインしたものが使われている壮絶な現場の実状

・「道具の転用性」は健康的な思想です。

・作り手が作るのではなくて生活者が作る。生活者の目線で一生懸命作る。

・家政学は男性もやった方が良い。

・道具は近代以前も限りなく素敵だった。

・我々は、道具に「概念的な力」を与え過ぎたのではないか。

・日本にある良い文化を、これから工業デザイナーが見つけて、存在理由を作らないと、
山も荒れるし技術も荒れてくる。

全員が意見を述べてフォーラムを終わる。

真島講師の話の後に大竹美知子氏、松本有氏が自己紹介を含めて意見を述べ、進行の堀内智樹氏の
発案により、世代毎の意見発表が行われた。会員以外の3人や、滋賀や名古屋からの参加者も含め
て全員が生活実感のこもった意見を述べた。JIDAとして初めて、生活にテーマを絞った3時間45分
の示唆に富んだフォーラムを終えたが、最後に真島氏から次のようなエールを頂いた。

「日本はモノ作りの人に価値を与えてこなかった。この程度の文化とも言える。私は、デザイナー
はホームドクター的存在になったら良いと考えている。実際の生活はそれだけ大事なのです。
日用品から考える生産方式があるのです。JIDAは集団としての能力を出して「今、こういう風に
見る」という考え方をまとめたサマリーを出すと面白いと思う。その団体性能によるのですが。
この団体の活動が正解であることを願っています。



■レポート:東日本Bビジョン担当 佐野邦雄





更新日:2012.01.06 (金) 10:17 - (JST)