jiod_1|JIDA東日本ブロック                     

第一回 JIDA INSTITUTE OF DESIGN

日時:2008年11月14日

場所:六本木AXISビル 4F JIDAギャラリー

“JIDAに所属するデザインの先輩方の貴重な言葉を聞くことの出来るチャンスを、若い人
たちに与えたい。”という思いから発足したインスティトュートオブデザインセミナー。
セミナーフォーラム部会長の木村徹氏の冒頭の挨拶では「JIDAの資産としての後援会」
という言葉が出てきました。

第一回の講師陣は、前半に黒川雅之氏。後半に大和田稔氏をお迎えした。
黒川氏は、実体験に基づくデザインフィロソフィーや、デザインとビジネスの関連性を
大和田氏は、松下電器産業のインダストリアルデザインの歴史を軸に、デザインの社会性
などをお話し頂きました。
聞く側、話す側、運営側、すべての人たちにとって大変有意義な時間を過ごせたと思います。

前半冒頭で、黒川氏の言葉で「地球と会話する技術者」と「人と会話するデザイナー」
という話がありました。分業制となった現在のデザイン産業の中で、デザイナーと技術者が
どのような関係でものを作っていくのかということが極めて重要な要素になるとのことでした。
「アマチュアリズム」「フェティシズム」「プロトタイプ」「ディティール」「異種の共存」
「ニッチアンドグロ—バル」「融合(デザイナーと職人の)」「自身の作品性」
これらのキーワードで締めくくられた黒川氏の講演は、まさにこの8つに彩られたデザイン
ビジネスの未来を、若い世代に希望として見せて頂けたと思います。

一方、大和田氏は「私のデザイン千一夜」と題し、オープニングのパワーポイント画面には
ご自身でドローイングされた手書きのカラフルなタイトル画像にてスタンバイ。
昔からある「技術」に対して、「デザイン」は戦後50年足らずの短い歴史しかもっておらず、
松下幸之助氏が「これからはデザイン・・・」とう神話を残してからバタバタとメーカーが
デザイン部門を抱えるようになった、という話から始まりました。

ご自身の経験されてきたデザイン事例とともに、表面化されない貴重な裏話もおりまぜて
お話し頂きました。
「デザイン部門の自立経営」の項目で語られたように、デザインというものが、造形に
とどまらず、様々な社会的・経営的な問題に直面し、それらを解決するのもまたデザイナー
の仕事だということが強く伝わってきました。

黒川氏、大和田氏、ともにデザインビジネスの未来には、経営的価値が必要不可欠で、
それがデザインの価値可能性自体を大いに引き上げるキーワードだと締めくくられている
ように感じました。

会場はJIDA古株の顔ぶれから、学生まで幅広い年齢層のオーディエンスで囲まれ、
たいへんな盛況ぶりでした。

お二方には、貴重なお時間を割き、ご講演頂き、またその時間を多くの人と共有できたこと
を感謝したいと思います。


次回以降、下記日程で予定されております。
・第2回 2008年12月4日 講師 大庭寛明氏・山口正幸氏
・第3回 2009年2月6日 講師 勝崎芳雄氏_萩原義明氏


■レポート:加藤健太郎



大和田稔氏


黒川雅之氏     

更新日:2012.01.06 (金) 10:18 - (JST)