JIDAスタンダード委員会 セミナー部会
 
スタンダード委員会セミナー部会
【第84回勉強会報告】
カシオ2.5Dプリントシステム「Mofrel」のプロダクトデザインに於ける活用例
 
【開催日】2017年12月6日
【講 師】カシオ計算機株式会社 デジタル絵画事業部
                  執行役員 事業部長 寺田 秀昭  氏
                  設計・技術室 室長 丸山 政俊  氏
                  第2開発室 室長  黒澤 諭   氏
 
 
 
【参加者】10名
【テーマ】表面の触感を伴う試作品を手軽に製作する
【会 場】JIDA ギャラリー
【概 要】専用の「デジタルシート」に電磁波で様々な凹凸を創り出し、質感や素材感、美しい色を再現する《2.5Dプリントシステム「Mofrel(モフレル)」》を、カシオ計算機株式会社が紹介。「Mofrel」では、画像データから木、布、石、金属などの繊細な凹凸や色合いを再現。デザイン試作の修正やカラーバリエーションは、デザインデータを修正するだけで簡単に作成でき、試作の自由度が高まりコストと時間の大幅な削減を可能にした。
勉強会では、様々なジャンルでの出力サンプルが展示され、またワークショップでは実際に「Mofrel」でシートを出力した。
 
 
■会社概要及び動画による 2.5Dプリントシステム「Mofrel」紹介
https://www.youtube.com/watch?time_continue=8&v=ul359W6Qmw8
■システム構成
・専用ソフトウェア「Mofrel Soft」:Photoshop CC 2017 プラグインソフト
・専用用紙「デジタルシート」:発泡するマイクロパウダーを配合。サイズは、A4 A3。
・専用プリンター「Mofrel DA-1000TD」:発泡のためにカーボンでモノクロ印刷。
                    仕上げのフルカラー印刷。
■制作過程
-1 PCにプラグインのMofrel Softをインストール。スキャンまたは作成した画像データなどをベースに、グレースケールグラデーションで画像を分け、それに高さを自動的に割り付ける。最大、表面3段階/裏面4段階で発泡可能。黒色が濃いほど発泡が大きくなるので、黒の濃淡で高さを調節する。
-2 モニター上で、カラーでの凹凸状態を確認。データを専用プリンターに送る。
-3 専用プリンター「Mofrel DA-1000TD」で、デジタルシートの表面にモノクロでデータを印刷。
-4 印刷後、デジタルシートに近赤外線を照射すると、印刷されたカーボンインクの量に従って起こる振動/摩擦熱でマイクロパウダーが発泡し、デジタルシートに凹凸が付く。
-5 デジタルシート表面に印刷されたマイクロフィルムをはがす。シートは、凹凸のついた白紙になる。
-6 デジタルシート表面にデータに基づき、フルカラーで印刷。
-7 デジタルシート裏面にモノクロでデータを印刷。
-8 近赤外線を照射して発泡させ、シートにさらなる凹凸をつける。
■特徴
*表面3段階、裏面4段階で計1.7mmの凹凸がデジタルシートにつく。
*表面の凹凸は微細な材質感等を再現、裏面の凹凸は全体的な大きな凹凸を表現する。
*データに従い、発泡の高さをコントロールする。
*デジタルシートの裏打ち、防水、耐紫外線処理が可能。
*デジタルシートのベース素材は3種 <紙・PET・PO(ポリオレフィン)>
 スタンダードは紙基材でメリハリある凹凸、繊細な質感再現。
 PO基材は薄く、多少の引っ張りが可能なので、ゆるい3次元面に張り込み可能。
■メリット
*エンボス制作に金型が不要なので、試作のためのコスト削減、時間短縮。印刷から発泡まで5〜9分。
*カラーコントロール、カラーバリエーションが簡単に制作可能。
■用途展開
*試作(加飾):早い段階でのテクスチャー/カラー展開が、時間とコストをかけずに検討可能。
 試作(機能):早い段階で、防音や水はけなどで、凹凸効果の実験ができる。
*擬似素材:イベント/販促用、少量多品種の製品、レンガ壁などの重量品の代替などに対応。
*質感再現:絵画/写真の表現として。
*視覚障害への対応など:点字、触地図などの制作。
■ワークショップ
*データ作成
*DA-1000TDによるデータ出力(紙/PO)
*3次元面に凹凸のついたシートを貼り付ける
■質疑応答
Q1:A3より大きいものは作れるのか?
A1:A0も可能であるが、設備が大きい。専用プリンターで、A4、A3対応。
Q2:価格は?
A2:プリンター本体500万円〜、シート1枚  A4 1000円〜、A3 2000円〜、年間保守4万円〜/月
  2018年2月より販売予定。
Q3:出力サービスはしている?
A3:今のところ、カシオはプリンターを販売している。出力サービスはしていない。カシオでは、発泡用データ作成を協力している。
Q4:プリンターサイズは?
A4:事務用デスクとほぼ同じサイズ W1326×D700×H710。重量が115kgなので、床の強度は要確認。
Q5:3次元のものへの貼り付けは、どのくらい可能か?
A5:PO素材のシートは、凸型にはかなり追随する。凹は、ゆるいものならば追随。自動車のダッシュボード、シートなど。さらに伸びる素材を開発中。
Q6:実用品の制作は可能か?
A6:現在、耐久性はあまりないので、試作、イベント向け。将来的には、実用品としての使用をめざす。
 
【講師より】試作、検討してみたいものがあれば気楽にご相談下さい。