JIDAスタンダード委員会 セミナー部会
 

2004年4月8日&16日
大成プラス(株)
取締役 営業技術部長 : 小川 典孝 氏
参加者 : 43名

 

 

 

 

 

 

大成プラス(株)が最も得意とする技術は、いわゆる「2色成形」と言われている
“異材質複合成形”です。 異材質と言えばその代表格はエラストマーですね。

ゴムの質感や柔らかさを損なわず着色性や成形性に優れているエラストマーは
防水性やグリップ感などのデザイン性、ヒンジ機能などの目的で近年急速に需
要が広がっています。
今回の勉強会で、このエラストマーの普及の背景には、大成プラス(株)の様々
な技術開発が潜んでいた事を知らされました。

大成プラス(株)の新しい技術は、単一の部品コストの追求では無く、時間短縮
や配送コスト、管理コストなどのトータルコスト、複合的なコストメリットを
出す為のアイデアが原点になっていることが面白いところです。

その技術のひとつに「金型アセンブリー」と呼んでいる手法があります。
携帯電話などで多数のキーを筐体内にアセンブリーする場合、すべてのキーが
繋がった状態で成形したものをそのまま次の金型に入れ、その金型内でゲート
カットをし、筐体とエラストマー素材の複合成形によって「動くキー」を筐体
に一体化する事ができる・・・等々といったようなもので、様々な工程を1カ
所に集中しすることによるコストダウンを狙っています。でもその結果は単な
るコストダウンだけではなく、部品を小さくすることに繋がったり、新しい
デザインソースとなり得る仕上がりに繋がったりしているところが大変興味深
い点でした。 

<NMT>
今回のメインテーマである「ナノモールティング」です。
アルミニウムと樹脂を一体化してしまうというすごい技術です。従来アルミプ
レス品というと、外観素材としては樹脂の筐体に加飾の為に貼るという程度の
位置づけだったはずですが、それが構造体としての筐体になり得たのです。
具体的には、成形したアルミ素材を特殊な液体で腐蝕すると、表面が単にザラ
ザラになるだけではなく、超微細な特殊形状のアンダーカット状態のディンプ
ルができ上がります。そこに硬質樹脂を射出接合させると、その20〜30nm径
の凹に樹脂がはまり込み固化する為、「アンカー効果」という強固な接合が実
現します。つまりフラットな板材でも樹脂のボスが立てられ、それがもの凄く
強いというものです。
さらにこの技術の応用で、アルミ同士の一体化を樹脂を媒体にして行うという
アイデア等も実践しており、この新技術の裾野はますます広がる・・・
といった印象でした。