TOP » 第58回「水溶性溶解中子と中空一体成形」

2010年6月3日
株式会社フジナミ
<水溶性溶解中子によるカーボンFRP中空一体成形>
参加者:17名


















株式会社フジナミ様は、昭和11年創業、木型製作に始まり現在は各種モックアップモデル、
G・C/FRP製品、治具・検具等を製作されております。今回は、複雑な中子設計を可能にする
新素材『水溶性溶解中子』を中心にご紹介いただきました。

通常、中子とは空洞がある鋳物を作るときに、空洞にあたる部分として、鋳型(いがた)の中に
はめこむ砂型のことです。製品となるには中子を壊したり、無理に抜くなど時間と手間が
かかりましたが、今回ご紹介いただいた『水溶性溶解中子』とはカーボン・プリプレグなどの
複合材を積層成形する際に芯材・型材として使用し、熱硬化後、芯材・型材部分を水道水で
洗い流して溶解してしまうものです。溶解してしまうことにより空洞部が形成され中空一体構造を
作り出すことが可能となります。

制約されがちなデザインに於いて『水溶性溶解中子』は諦めていた形状を可能とする手段のひとつ
となります。

分割とは違って一体構造成形が可能なため、軽量化と強度を高められ、且つエアーダクトなど
内ツール面の平滑を要求される部品にも最適な工法となります。

中子製作方法としては、粒子状の基材と水を混合し型に注入し中子を製作する注型法(粉状)と、
板材から削りだして中子形状を作る切削法(板状)の2通りあります。

C/FRP成形においては、オートクレープは勿論のこと、一般的な汎用乾燥炉でも使用でき、
インフュージョン成形やハンドレイアップ成形との併用が可能で設備的にも大掛かりなものは
必要ありません。

現在は主に自動車・航空関連で採用されており、エアーダクト、ピラー、ロールバーなどの
サンプルを多数お見せいただきました。

また合わせて、新世代のプリプレグ(軽量化を見据えた上で今後の自動車用構造体として再度
脚光を浴び始めたカーボン繊維に、難燃性のフェノール樹脂を含侵させたプリプレグシート)から
の成形品として、インテークマニホールド、エアーダクト、地球儀などのサンプルもお見せいただ
きました。このフェノールプリプレグは最高位のFST特性(難燃性、低発煙性、低発煙毒性)を有
しており、主に欧米航空機メーカーに採用されているようです。

この二つの新素材の活用は、今後の製品デザイン自在性のさらなる一助になるのではないでしょうか。